タングステン電極棒とアークの関係 溶接「虎の巻」ニュース Vol.4

こんにちは。溶接「虎の巻」ニュースも第四回目となりました。思いつくがままに毎回記事を書かせて頂いております。溶接関連商品を選ぶ時に注意するポイントについて、製造業の方の知らない、流通業界にいた人間しか知らない裏話なんかも書いていきたいなあと思っております。いろんな記事に共通するのは、今までの見方と違う角度から見ると、感じ方も異なるのかもしれないってことです。伝えたいことはたくさんあるのに、うまく文章になりません。ながーい目で見てお許しくださいね。これがわかる人はある程度の年齢ですよ(笑)

前回は、同じ溶け込みを確保する時、アークが広がっているより、アークが集中したときの方が溶接速度が速くなり、生産性が上がり儲かりますよってことでしたね。そして、アークを集中させると、母材への入熱が低減しひずみが少なくなるという大きなメリットを得られますというところまでお話しました。では、具体的に直流溶接においてアークを集中させるお話につなげていきます。

★ここがポイント

溶接情報TIG編 その四

アークを集中させるには、いろいろな方法があります。その前に、タングステン電極棒の特徴をご説明して参ります。

■ タングステン電極棒の種類で集中が・・!
みなさんは、タングステン電極棒とアークの因果関係をご存知でしょうか?因果関係ってそんな大げさなことではないのですが、タングステン電極棒が変わると、アークの広がりが変化するのです。つまり、タングステン電極棒の特徴を理解して選択する必要があるのです。

例えば、皆さんが最もよく使われているトリタン(トリウム2%入りタングステン電極棒)と最近流通が多くなってきたセリタン(セリウム2%入りタングステン電極棒)は、同じ電流で溶接した場合溶け込みが大きく異なります。セリタンの方がアークが広がる傾向にあり、その分溶け込みが浅くなってくるのです。タングステン電極棒なら何でもいいからってでたらめに使っていませんか?電極棒の材質が変わると同じ溶接電流で溶接しても、溶接品質が変化してしまうので注意が必要です。

トリタンとセリタンを比較すると、
セリタンのほうがアークが広がる(溶け込みが浅くなる)

ここで、あらためて、タングステン電極棒の種類をご説明します。現在国内で流通しているタングステン電極棒は、

● トリタン(トリウム2%入)赤色

● セリタン(セリウム2%入)灰色

などが主として流通しております。

これらを区別するには、電極棒末端に着色がありますので、これを見てそれぞれを区別すると良いでしょう。

一般的にトリタン、ランタンは直流溶接に、純タン、セリタンは交流溶接に市場では使われております。しかし、作業の仕方によってはセリタンを直流溶接に使ったり、トリタンを交流に使った方が良い場合もありますので、溶接内容に応じて使い分けるのが賢い選択です。

  電極棒の一般的な使い分け
  トリタン、ランタン:直流溶接
  純タン、セリタン :交流溶接

前に述べたようにトリタンとセリタンではアークの広がり方が異なります。
トリタンを使われている方が、セリタンに切り替えた時、同じアークを求めるなら、セリタンの研磨角度をトリタンより十五度鈍角に研磨すると同じ広がりのアークとなります。
つまり溶け込み深さが同じになります。同じ研磨角度で使用した場合トリタンの方がアークの集中に優れ、溶け込みが深いので、直流溶接に幅広くつかわれてきたのです。

でも、セリタンでも十五度鈍角に研磨すればトリタンと同等の集中したアークが得られるってことは、セリタンを使った方がお得なんではないでしょうか?

Tips!

セリタンを使うとき、トリタンと同じアークを求めるときは
トリタンの研磨角度+15
たとえばトリタンのとき30°の研磨角度ならセリタンの場合は45°

次号に続く。

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