アークの集中と溶接ひずみ 溶接「虎の巻」ニュース Vol.3
こんにちは。溶接「虎の巻」ニュースの第三回です。前回、中学時代の卒業文集をふと何十年ぶりかに読んでみたお話をしました。それ以来手元において、呼んでみる習慣がつき、時には笑い、時には涙しながら読み返しています。本当に良い時代だったんだなぁーって、昔を懐かしんでしまうのは、年とった証拠なのかとちょっぴり淋しく思うのでした。
前回は、TIG溶接の時のタングステン電極棒が、アルミ溶接のときに消耗が何故激しいのかというところから、タングステン電極棒の消耗を低減させるには、デジタル溶接機に採用されている交流周波数を上げる機能を使うことと、交流/直流出力のモードを使うのが有効である。
そして、交流周波数を上げたり、交流/直流モードはアークを集中させるために登場した機能であり、溶け込みを深くするために誕生しており、アークを集中させることがコストダウンに繋がるってところまでお話しましたね。
それでは今回はこの続きから・・・
★ ここがポイント
溶接情報TIG編 その三
アークを集中させることが、何故コストダウンに繋がるかと説明していきましょう。
溶接の溶け込みとは、アークのエネルギー量、つまり溶接電流に比例します。溶接電流を上げれば溶け込みが深く広くなります。まずこれを覚えてください。
そして、溶接のお仕事をしてその代価としてお金をもらっているのですから、溶接をたくさんすればお金はたくさん入ってきます。一日8時間仕事をするとしてその8時間の中でできる限り多くの仕事をこなせれば収入は増えるのです。
そのためには高い電流で溶接すれば・・・いいわけないですよね。1.5㎜板厚のステンレスを溶接するときに、必要以上に電流を上げても本来溶接したい溶接接合部以外を溶融させても百害あって一理なしです。
溶接は、接合したいところだけに適正な量のアークエネルギーを使って溶融接合すればよいのです。だったら、TIGのアークが必要以上に幅広く広がっているのは無駄であるということになります。例えば100Aの溶接電流に設定して1.5㎜板厚の突合せ溶接をするときに、アークが9㎜幅に広がっているよりは、4㎜幅に集中させたほうがアークエネルギーが溶け込みは深くなります。このとき、溶け込みを9㎜幅のときと同じにするには、溶接速度を上げる必要があるのです。つまり、溶接速度が速くなり、たくさんの仕事が出来るようになり、儲かるようになるってことです。
簡単なことですよね。アークを集中させると儲かるようになります。
では、アークを集中させることにテーマを移して皆さんが儲かるようになる情報をこっそり提供していきたいと思います。
■ アークを集中させるメリット :溶接ひずみに大きな効果
アークを集中させていくと、溶接速度があがり儲かるってことですが、アークを集中させるメリットは他にもあります。それは、単位時間当たりの母材への入熱が減るというメリットです。単位時間当たりの入熱が減ると実は凄い特典が付いてきます。この特典とは、母材はひずみにくくなるという効果のことです。
|
|
|
|
Tig溶接のアーク |
プラズマ溶接のアーク |
プラズマ溶接やレーザー溶接は、エネルギーを一点に集中させているから必要なところ意外に極力熱が伝わらず、ひずみの少ないことが大きな特徴です。
プラズマ溶接やレーザー溶接と同じことをTIG溶接では当然できませんが、アークを集中させることにより、レーザー溶接のような効果を得ることがちょっとした工夫で可能なのです。
アルミ溶接では、交流周波数をあげたり、交流直流モードのある溶接機を使うことが一つの方法となります。でも、これは直流溶接では適用できません。でも直流溶接でもアークを飛躍的に集中させる方法があるのですね。
どうすれば良いか知りたくありませんか?
次回に具体的にわかりやすくお伝えしましょう。お楽しみに・・・。

