YAGレーザー溶接とTIG溶接 溶接「虎の巻」ニュース Vol.13

こんにちは。溶接「虎の巻」ニュースです。
使わなくなったために無くなってしまったものや、退化したのは、パルス幅調節機能だけではありません。

私も、パソコンを使う機会が増えたのに比例して漢字を書く能力が衰えました。たまーに、紙に向かって文章を書いていると、単純な漢字が書けないのです。皆さんもこんな経験おありですよね。

そして、世の中には恐ろしいことが進行しているようです。「本」が無くなってきています。私の一番の趣味は、本を読むことなのですが、最近本屋さんに行っても読みたい本が置いてないのですね(涙)。そういえば、昨年、私のすんでいる県内で一番大手の本屋さんが倒産しました。最盛期は県内40店舗を超える優良企業であったのですが、悲しい出来事です。読む習慣が不要になってきたのでしょうか。こんな淘汰はなんか嫌ですね。

★溶接情報TIG溶接機編
前回、パルス周波数をあげると溶接速度があがるってところまでお話しました。そういえば、ここ何年かYAGレーザー溶接機の普及が急激に進行しています。溶接業界にとっては嬉しいことなのですが、YAGレーザー溶接機と言っても万能ではなく、特徴を理解して使う必要があるのですが・・・。

YAGレーザー溶接機の普及はひずみと焼けといった二つの大きなTIG溶接機が抱えている欠点に不満があったからに相違ありません。そして、YAGレーザー溶接機により圧倒的に品質を高めることが可能なのは事実です。YAGレーザー溶接についてはもっと詳しく別の機会に述べることにします。

TIG溶接でも工夫をすると驚くほど低ひずみにしあげることが可能なのです。そして、焼けを減少させることもちょっとした工夫によって可能なのです。そして、お金なんかぜんぜんかからないのですね

★こうすればできる!低ひずみ溶接の「虎の巻」

YAGレーザー溶接がひずみにくいのは、溶接したい一点に光を集中させ、そこだけを溶かして高速で溶融しているためです。
TIGでは当然そこまでの集中性はないのですが、皆さんが想像する以上に、アークを集中させて、高速で溶接が可能なのです。そして、ひずみを大幅に削減することも簡単にできるのです。これから、「虎の巻」の中の「虎の巻」秘蔵のレシピを伝授します。メーカーさんや溶接の専門家に聞いても、お金を払っても教えてくれない極意です。

虎の巻」ニュースを全て読んできていただいた方にはおわかりでしょうが、まず前提条件としてタングステン電極棒の先端の管理から始めます。専用のタングステン電極棒研磨機を使って60度位に正確に研磨しましょう。次にパルス幅調整機能のついたTIG溶接機を用意します。できることなら、インバータデジタル溶接機がいいですね。なにしろYAGレーザー溶接機に勝負を挑むのですから、デジタル溶接機位使わないといけないです(笑)。

さあ、ここからがポイントです。まず、ガスをアルゴンガスでなく、アルゴンガスに5%水素の混ざった混合ガスを用意してください。次に、前回お教えしたようにパルス幅調整機能を利用して、高速パルス溶接をするのです。SUS1ミリの突合せ溶接をする場合を例にとり具体的に説明していきましょう。
皆さんは、ダイヘンさんとか、松下さんの発行している溶接手帳をお持ちでしょうか?ここに各種溶接条件が記載されています。
もしないようでしたら、「虎の巻」ニュース紙面に掲載しますので、それをみながら基本条件を参考にするといいでしょう。

低ひずみの実現のため、ひずみ易いSUS1ミリの突合せ溶接を例に説明します。SUS1ミリ突合せ溶接の適正条件は30A~40Aになっています。ですから、パルス溶接条件を作るときに、これをベースになるようにまず仮定条件をつくるのです。ベース電流は、限りなく下げるといいでしょう。インバータTIG溶接機では一般的に最小電流が4Aになっていますので、ベース電流値は4Aとします。

次はパルス電流の設定ですが、その前にパルス幅を決めておきましょう。
ここでは、パルス幅20%にしてみます。ここまでくると、自動的にパルス電流値が決定されます。平均電流30A=パルス電流×20%+4A×80%という計算式からパルス電流を導き出せばいいのです。
計算するとパルス電流は135Aとなります。低ひずみ溶接に的を絞って条件を設定する場合、パルス周波数は調整できる限り上限に設定するのがいいでしょう。
一般的なTIG溶接機では、500サイクルが一番速い速度ですので、500サイクルに固定します。

さあ、これで一回デジタル溶接機に入力をして実際に溶接をしてみます。以下次号。

溶接条件表はこちら

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