デジタル溶接機 パルス幅の可能性 溶接「虎の巻ニュース」 Vol.12

こんにちは。溶接「虎の巻」ニュースです。
みなさんはダーウィンって聞いたことがありますよね。有名な進化論を発表したあのダーウィンです。生物界は弱肉強食で、自然界は弱いもの、不要なものは淘汰されなくなってしまうのだそうです。人間の体もそのように出来ており、かつて猿だったころには存在した尻尾が退化し、類人猿から原人になるころには既になくなっていたようです。足の小指もあと何万年かすると不要となりなくなってしまうかもしれないそうです。これは、足の小指を単独で動かす必要が靴の普及で急激になくなったからだとも言われております。TIG溶接機でも、昭和60年位までの機械には存在したパルス幅調整機能が、誰も使わなくなったためデジタル溶接機が誕生したつい最近まで失われて、不要な?機能だったのです。

★溶接情報TIG溶接機編

私は、昭和の時代よりパルス幅機能の復活を求めて、機会のある度にメーカーさんにお願いをしておりましたが、所詮田舎の熔材販売店の若造のいうことなど聞いてくれるわけもなく、「貴方はそう言いますが、実際に市場でお客さまが要求していないからなくなったんですよ。」いつも無視をされておりました。

このようにして時代は、バブル狂乱時代へと突入していきました。作ればなんでも売れたバブル時代も終焉を向かえ、お寒い限りの「売れない時代」を迎えると、コストダウンのためにより一層不要な機能の削減が進行しました。
安くしないと売れないといった間違った思想が蔓延した悲しい切ない時代です。

不毛な10年の失われた時代を経過すると、溶接業界にも薄日が差し始めました。デジタル溶接機の誕生です。発売当初から「これは絶対お客さまの役に立つはず!」と確信していたので、お客さまの本当の望みを叶え、悩みを解決するために、理想どおりの条件を理論から推察される仮定に基づき溶接機に入力しました。

デジタル溶接機の凄いところは、理論が溶接結果に反映しやすいところです。特にTIG溶接機はアーク溶接の中でも入力した結果がすぐに品質につながり、調整がしやすいので実験もしやすいのです。嬉しいことにパルス幅調整機能が復活しておりました。おそらくメーカーさんも意図してパルス幅調整機能をつけたのでなく、デジタル溶接機を作った結果、パルス幅も調整できるようになってしまったというのが実情だと思います。その証拠に目に触れる溶接機の前面パネルにはパルス幅調整つまみなど存在しません。隠れ機能として、ファンクションボタンを長押しすると、出てくる隠れ機能の一つなのです。でも、本当に嬉しかったですねぇ。これを武器にお客さまにパルス幅機能の使い方を伝道し始めました。

★ パルス幅機能の可能性

この紙面を使って、今回もパルス幅機能の説明を継続していきます。1ミリと6ミリのギャップのある難しい溶接でも熟練技能を必要とすることなく、パルス幅機能によって簡単に溶接ができるようになりました。瞬間的に高い電流を流し、溶け落ちる前に溶融池を凝固させる特徴させ理解してしまえば、応用がいろいろ可能なのです。
パルス周波数をあげていく実験をしてみたことがあります。溶接をしながら周波数をあげていくと、音が変わってきます。断続的な音が連続音になり、低い音から高い音に変わってきます。シンセサイザーを使った楽器のようで面白いですから一回試してください。

toranomaki1102.jpg周波数をあげていくと、アークが絞られていくのに気づきます。アークが絞られる=集中しているということは、溶け込みが深くなるということは以前お伝えしましたよね。つまり、周波数をあげていくと、溶け込み制御が可能となるのです。角溶接のエッジを残したい場合などにもパルスを使うととっても便利です。そして、パルスの幅の調整を組み合わせると、いろんなことができるようになります。周波数をあげていくと集中した深い溶け込みが可能となります。そして高速溶接も現実化してきました。続く・・・。

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