薄板溶接のギャップ溶接の秘訣は、パルス機能の使いこなしにあった! 溶接「虎の巻」ニュース Vol.11

こんにちは。溶接「虎の巻」ニュースです。
その昔(四半世紀前)学生時代に渋谷の公園通りにあった某大型洋風居酒屋で彼女とデートをしていた時のことです。ここは、若手お笑いタレントを呼んでの漫才やコントを楽しみながらお酒が飲める楽しいお店だったのですが、彼女に夢中の青年(私)は、お笑いタレントなど無視して、彼女とのお喋りに夢中でした。

あまりの熱々ぶりに見かねたお笑いタレントさんから注意されました。「ちょっとは、話を聞いて笑ってくれないと立場がないんだけどな」大勢のお客の前で指差されてからかわれて、顔から火がでるほど恥ずかしかったものです。

この二人組はデビュー前の無名コンビ、若き日のツーツーレロレロさんでした。片割れの方は今や日本一有名なM県の知事さんです。こんなに大出世されるとは当時の純情な青年には想像もできなかったことでしょう。

★溶接情報TIG溶接機編

前回の続きでパルス機能の説明をもうちょっとしていきますね。パルスを使うことにより、母材への入熱コントロールが容易になり、そしてパルスの周波数を可変させることでギャップ溶接からアークの集中する高速溶接までいろいろなことができるってことでしたね。
今回も具体例をあげながら、パルスの使いこなしの「虎の巻」をお伝えします。
SUS1ミリの板と6ミリの板の突合せ溶接をするとしましょう。しかもワーク精度が悪く、溶接進行方向に向かって1㍉程度のギャップがあったとします。皆さんならどのような条件を設定しますか?

toranomaki11011.jpg

通常板厚違いの溶接の時に、注目するのは薄板です。薄板に合わせて溶接条件を設定します。SUS1ミリの突合せ溶接の適正電流条件は、30A~40Aです。しかし板厚違いですから、6ミリの板の方に熱を奪われうまく溶けていかないでしょう。
そこで、パルス機能を使います。例えばベース電流を5A、パルス電流を55Aに設定すれば(5+55)÷2=30Aとなり、30Aの平均電流で溶接をすればパルス機能を使わない時と比べて、溶接がより容易となります。また、ギャップがありますので、パルス周波数はローパルスに設定してください。溶融池を見ながら溶け落ちないように溶接をします。フィラーワイヤーを挿入すればより溶接しやすくなるでしょう。

平均電流を30Aにするためには、パルスとベース電流を、10A、50Aでも良いですし、15A+45Aでも理論上は可能ですが、1ミリと6ミリといった極端に厚さが異なる場合は5Aと55A位に大きく差をつけた方が良い結果に繋がります。但し、薄板が溶け落ちないようなパルス電流を設定するようにしてください。

ちなみに、6ミリの突合せ溶接の推奨溶接電流は275A~350Aと非常に高い電流を要求します。すると、パルス電流55Aではうまく溶け込まないとも考えられますね。実際、溶接強度をもっと求めると、パルスを使ったとはいえ十分ではないかもしれません。しかし、これ以上パルス電流を高めると、今度は1ミリの薄板に穴が開いてしまいます。
そこで、今回の目玉、必殺ウルトラテクニックをこっそりお教えします。

★ パルス溶接の「虎の巻」テクニック

パルス電流と、ベース電流は同じ時間流さないといけないという決まりはないので、パルス電流の時間を短くし、ベース電流の時間を長く設定してみます。高い電流を瞬間的に流し、思い切って下げた低い電流で時間をかけて溶融池を凝固させてあげればいいのです。

toranomaki1102.jpg

平均電流=パルス電流×25%+ベース電流×75%
=110(A)×25%+4(A)×75%
=30.5(A)

これをパルス幅調整機能と呼びます。25%の短い時間にパルス電流110A流し、6ミリ厚の板を溶かし、75%の長い時間をかけて4Aの低い電流で溶融池を凝固させてやるのです。このようにすればより容易にそして、溶け込みを確保できるのです。続く・・。

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