デジタル溶接機 パルス機能の使いこなしとは? 溶接「虎の巻」ニュース Vol.10
こんにちは。溶接「虎の巻」ニュースです。
展示会の話題を続けます。情報発信の仕方としての展示会に質の低いものが出てきており、とっても気になっているのです。展示会は本来お客様に役立つものでなくてはいけないのですが、メーカーさんをただ並べるだけのメッセージもなしに開催される展示会が多くなってきています。
社員「展示会のテーマは何なのでしょうか?」
専務「そんなこと知るか?売れればいいんだ。」
社員「でも、見込み客を確保するための展示会と既存客に売るための展示会って内容が大きく違いますよ。」
専務「難しいこと言うな、とにかく売るんだ。」
社員「展示会にわざわざ来場して頂くわけですから売ることより情報をたくさんと伝えした方がいいのでは?お客さまにとって真に必要なものを考えてもらう機会に・・」
専務「そんなの関係ねえっ!展示会は売ることだ。何でもいいから並べて売るんだ!」
社員「苦笑・・・・」
溶接情報TIG溶接機編
前回、溶接機の整流方式による分類を大まかにご説明し、インバータデジタル溶接機の優位性にも少し触れてみました。
今回は、最新のデジタルTIG溶接機の機能を使って出来る可能性をお伝えします。
★「こんなことが出来るの?」デジタルTIGの可能性とは
デジタル化されて、シビアなコントロールが出来るようになったと前回もお話しましたよね。
薄板角溶接の「角のエッジ」を残した溶接をより簡単にする方法をお話しましょう。前段階として、タングステン電極棒にセリタンの1.0φを用意して、タングステン電極棒研磨機で十五度に鋭角研磨し、先端だけ45度に研磨する二段研磨をして下さい。これが正確なアークのための必要条件です。
次に溶接機の条件設定に移ります。
溶接機は、ダイヘン製DT―300Pなどがお奨めです。0.5t厚の角溶接を前提にした場合、18A位の電流で溶接すると経験的に良さそうなのですが、これを楽に溶接する方法として、パルス機能を使うことを推奨します。パルス溶接ってご存知でしょうか?簡単にご説明しましょう。
パルス溶接とは、高い電流と低い電流を交互に繰り返して溶接する方法のことです。18Aの電流で角溶接をする場合、上記図のようにパルス電流を32Aにして、ベース電流を4Aに設定して溶接します。

パルス溶接法のメリットは、高い電流(パルス電流)で母材を溶かし、低い電流(ベース電流)で溶けた溶融池を冷やして溶接をするため、溶け落ちして穴が開く心配が大幅に低減できるようになるのです。デジタル溶接機のメリットは、このように設定した条件で実際に溶接をしてみて、溶接の仕上がりを見ながら簡単に条件を再設定しなおしてよりよい条件を作ることが簡単にできることなんですね。
★ パルス機能の使いこなし
パルス機能には、パルス電流とベース電流の設定の他に、パルス周波数の設定があります。これはパルス電流とベース電流の繰り返すサイクルを一秒間に何回繰り返すか設定する機能のことです。パルス周波数は、0.1Hz~500Hzまで任意に設定ができます。パルス周波数を遅く(小さく)設定すると、ギャップがあったり、板厚違いなどする困難な溶接に対応がしやすくなります。逆にパルス周波数を速く(大きく)すると、アークが小さく集中してきますので、溶接速度が速くなってきます。
0.5t厚の角溶接で角のエッジを残して溶接する場合、集中したアークで溶接ビードが幅を狭くした方がベターですので、周波数は大きくした方がいいでしょう。例えば、500Hzまで上げてみて実際に溶接をして、溶接幅を実際にご確認下さい。パルス電流を32A、ベース電流を4Aに設定すると
(32+4)÷2=18Aの平均電流となりますので、
これを500Hzのパルス周波数に設定したとすると、パルスを使わないで18Aに設定した時よりも溶接ビード幅が狭くなります。
つまり、より角のエッジが残りやすくなりますので、溶接に不慣れな方でも角のエッジが残った溶接をすることができるようになるのですね。
次回ももう少しパルス機能を説明してみようとおもいます。