溶接機の電源制御:デジタル溶接機のメリット 溶接「虎の巻」ニュース Vol.9
こんにちは。溶接「虎の巻」ニュース第九回目の始まりです。
前回、展示会のことに冒頭で触れましたが、長く溶接材料を販売する側にいた人間として、展示会のあり方について気になることがあります。最近の展示会が、販売者の売上を上げる目的の毎年同じ内容のマンネリ展示会が多くなっているような気がするのです。
社長「最近、売上が落ちている、対策はないのか!少しは考えろ!(怒)」
専務「それでは、展示会でもやりますか・・」
課長「はい、では適当にメーカーを集めます」
社員「えっ!またやるんですか?意味もなく」
課長「いいんだよ、適当にメーカー並べれば」
当然、全部がそうではないのですが、販売サイドの質の低さを感じるある秋の出来事でした。
ゲーテは「もっと光を!」と叫んだそうですが、私は、「もっと質の高い情報の提供を」って大声で叫びたかったです(涙)
★ここがポイント
溶接情報TIG溶接機編
溶接機の電源の制御方式には3つの方式がある
細かな話題が続きましたので、たまには気分を入れ替えて溶接機のお話をしましょう。
TIG溶接機で、現在販売されているタイプを制御方式で分類すると
- サイリスタ制御式
- インバータ制御式
- インバータデジタル制御式
の三つに分けられます。
サイリスタとかインバーターとか言う言葉の意味を簡単に説明します。
これは、入力側の3相200Vの交流を溶接機出力側で、整流する方式なのです。整流つまり、交流を直流にかえることです。一番簡単に整流するには、交流を変圧器により電圧を下げてから、イメージ図1のようにダイオード等を使い、アノード(陽極)→カソード(陰極)にだけ電流を流し、陰極→陽極には電流を流さないような一方通行させる素子を組み込むことです。サイリスタ制御は、ダイオードにサイリスタ(3端子の半導体)を組み合わせてより滑らかに直流に変換する方式です。

インバータ制御の溶接機は、一旦整流して得た直流を再度インバート(逆転換)させ交流に戻します。この時周波数を細かく変換します。その上で再度直流に整流(コンバート)してよりきめ細かい電流を確保させています。身の回りにもインバータはたくさん使われていますね。蛍光灯もインバータに変えるとちらつきがなくなり、省エネルギーにも繋がります。冷蔵庫にもエアコンにも効率化のためインバータが使われております。溶接機はこのインバータ制御により安定した電流出力が可能となりました。インバータデジタル溶接機は、アナログ信号をデジタル化することで圧倒的にきめ細かい制御を可能にしております。

★ デジタルTIG溶接機のメリットとは ~1Aずつあげていくようなシビアな設定が簡単にできる~
サイリスタ制御より、インバータ制御。インバータ制御よりインバータデジタル制御の方がなんとなく良さそうだってお分かりでしょうか?
もっと具体的に説明してみます。例えば、1ミリ厚のSUS板の角溶接をして、角のエッジを残して溶接したい時に今までの溶接機なら、熟練の溶接の腕がないと非常に困難だとおもいます。
しかし、デジタルTIG溶接機を使えば、このような困難な溶接が簡単に可能になります。1ミリの角溶接の時の推奨溶接電流は45A位ですが、角のエッジを溶けないようにするには、1ミリの半分の板厚の溶接条件である15Aから1Aずつ電流をあげていってベスト条件を探ればいいのです。実際に実験してみると、17A~18Aで良い条件となりました。
従来の溶接機では17Aとか、18Aといった1A単位での電流コントロールは難しく、うまく行かない時の方が多いかもしれません。このようなシビアな条件設定も簡単にできるのがメリットとなります。
当然これだけではありません。ご説明してきたタングステン電極棒の種類や、先端の管理、つまり専門の質の高い電極棒研磨機を使って研磨角度や面粗度の状況を整えることによる違いがシビアに溶接に現れるようになるため、より困難な溶接が誰でも可能になります。